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心に響くもの

押井守が語る原発 – LOOP-02 東京藝術大学シンポジウム

   

loop2 押井守 シンポジウム先月、東京芸術大学で開催された、押井守さんのシンポジウムに行ってきました。
押井さんの話は、原発の問題から始まり、身体論まで、予定の時間を30分もオーバーするほど絶好調で、とても面白い内容でした。

当日は、USTREAMで生中継が行われ、アーカイブも公開されていたのですが、いつの間にかアーカイブが消えていたので、その中から書き起こしていた、原発問題と若者へのメッセージのログをアップします。

正確な言い回しでもないですし、だいぶ掻い摘んであります。

loop2 押井守 シンポジウム

原発について
――『3・11の未来』という書籍のなかで、押井さんが「あえて十字架を背負う」という寄稿をされていました。そのなかで「日本には、技術はあっても技術の思想がない」と仰っていて、どういったことなのか聞いてみたいなと。

押井:
ひとつは技術の思想とは何なんだろうかと、
日本という国は、近代的な科学技術というのを明治維新以降、輸入してきたんですね。輸入することで、いろんな技術を自分のものにしてきた。
言葉はどこから輸入してきたかというと、中国から輸入してきたわけですよね。アジアには漢字の文化圏というのが存在して、概ね漢字の文化圏というのはイコール中国の文化圏であると。
そのことで言えば、漢字を輸入することは、中国の文化を輸入することに等しかったわけです。
そのなかで唯一、漢字文化を輸入しながら、中国文化と絶縁することに成功した。漢字というものを純粋に、ツールとして使いこなした。それが、日本人であった。
今回の例で言えば、飛行機のエンジンから、原発に至るまでそうなんだけど、技術というものを輸入して、技術を自分たちのものにして、そのときに、何故それを使うのか。何故、それが必要とされたのか。その技術で、何を実現したいのか。
技術の思想ということを一言で言えば、ゼロからものを考えるということですよ。根本に立ち返って考える。
日本人は、とうとうゼロから考える文化を輸入することができなかった。
技術はツールでありながら、ツールに留まらない何かである。

原発というものは、ある意味で原爆よりも管理しづらい。ご存知のように、廃炉にするだけで30年もかかる。
そんな手に負えないものを、何故日本は輸入したのか。しかも、原爆を落とされていた国が。
「平和利用のための原子力肯定」、「戦争のための兵器」であるよりは良いと。果たして、技術とは、そのように二つに分けられるものなんだろうか。考えもなしに原子力というものを輸入したことが、そもそもの発端だった。

 
若者に向けた言葉
――『スカイ・クロラ』について監督が、「初めて若い人に優しい映画を作ったと思う」ということをおっしゃっていた意味を聞かせてください。

押井:
「優しい」っていうのは、励ますとか、慰めるということとは違うんだろう、というのが僕の考え方で。要するに、親身になったということ。自分の中では優しくなったという感情になるんだけども。
とにかく、若い人に親身になれた、気にかけてあげられた。今までは、どうでもいいと思ってたから。
もう中年に差し掛かり、老年に入ろうとする自分にしか興味がなかったから。逆にそうなったときに、若い人に目が向いたということにすぎない。親身になれるような気がした、っていうこと。今はほんとうにそうなのか、ちょっと妖しいんだけど。

その親身になったときに、何が言えるかというと、そうとう残酷なことかもしれない。
で、言わないよりは、言ってあげたほうが良いんだっていう。言わない大人は、むしろ親身にならないから言わないんだ。
ほんとうにその人のことを心配するんであれば、ほんとうに親身になるんであれば、ほんとうのことを言ってあげたほうがいい。

あの時期は、集中的に小学校とか中学校とか、高校から大学といろんなところに呼ばれて行って、けっこう、いろんなこと喋りましたね。
そのときに言ったのが、「早く幻想を捨てなさい」って、「あなたたち、一人ひとりには、なんの個性もない」とか。
そういうことを言って、先生方に嫌がられたんだけども。
言ってみれば、それは日本の戦後民主主義というかね、戦後の教育を真っ向から否定したわけだから。
「一人ひとりの個性を尊重し」って、「一人ひとりが掛け替えのないオリジナリティがあり」って、それは全部ウソであるって。あなたたちは、そのことに振り回されていると、将来を棒に振りますよ。
あなたたちは、限りなく凡庸であり、無名であり、匿名であり、だからこそ未来があるんだ。

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