東京国立博物館で開催されていた、ブッダ展を見に行ってきました。
ブッダの生涯を、手塚治虫の代表作”ブッダ”の原画と、本物の仏像で追うという、なんとも風変わりな展覧会です。
仏像には、まったく興味はなかったのだけれど、手塚治虫のブッダと、仏教には少しだけ興味があったので、どんなものか見てみよう、という軽い気持ちで行ってきたのでした。
手塚治虫の描いた”ブッダ”と、ガンダーラや日本などの仏像で表現された”仏陀”を比較しながら鑑賞するという、奇妙な組み合わせのものなのだけれど、これが非常にわかりやすくて面白かったです。
というのも、手塚治虫という人が凄いのだろうけれど、その実物の仏像で表現されているものと、漫画で描かれているものが見事にマッチしていて、その正確さに打ちのめされます。もしかしたら、仏像に合わせて描いた絵なんかも、あったりするのかな。
もし仏像だけを見ていても、僕には、それほど楽しめなかったと思うけれど、手塚治虫の原画を使ったプレゼンテーションによって、仏像も楽しむことができました。仏像も、ストーリー立てて見ていくと、分かりやすいものになるようです。
興味のベクトルを向けさせるためのアプローチとしても、ちょっと参考になりました。
僕にとって一番目を奪われたのは、やっぱり手塚治虫の原画です。
かなり描き込んである原稿が、大胆にごっそり修正してあったり、鉛筆のネームが残っていたり、ペンの跡とベタの塗りむらがはっきりと分かったり、印刷物とは違って生の迫力がありました。
手塚治虫の仕事に感服したり、仏陀というひとりの人生を見つめてみたり、価値が高い仏像が集結していたり、ほんとうに不思議な展覧会なのでした。