memo

心に響くもの

ダライ・ラマ法王 東日本大震災犠牲者の49日法要

   

ダライ・ラマ14世護国寺で、ダライ・ラマ法王による、大震災犠牲者への四十九日法要が行われました。
チベット僧と、日本の多くの僧侶が宗派を超えて集まり、復興への祈りをささげました。
僕は、なにか確信的な宗教を持っている人間ではないのですけども、ダライ・ラマの講演や著作で語られる話は、ちょっと興味をもって拝見しています。

特定の宗教を持っている人や、宗教自体に抵抗のある人は、ダライ・ラマの言葉を紹介することに抵抗があるかもしれません。なんたって、宗教的に有名な方なので。
しかし、まあ、なんと言いましょうか、ダライ・ラマは、特に仏教が素晴らしいと息巻くわけでもないですし、宗教的な雲を掴むような話をされるわけでもありません。
どちらかと言うと、現代的な視点で語られる方なので、僕のような仏教初心者でも、とってもすんなり、聞き入ることができるのです。

ダライ・ラマ14世

ダライ・ラマ法王の言葉
こんにちは、日本の皆さま。
この大地震により被災された方々、津波によって大変な目にあわれた方々、原発の事故によって災害にあわれた方々、たくさんおられると思いますが、そのような被災地の方々は、ほんとうに酷い災害をこうむっておられるわけで、そのなかで多くの方々が尊い命を失われています。
そして、亡くなられた方々だけではなく、残されたご遺族の方々もたくさんいるわけですが、ほんとうひどい苦しみを味わってこられた方が大勢おられます。
そのような皆さま方すべてに、心からご挨拶を申し上げたいと思います。

日本で大震災が起きたことが、世界的なニュースとして流れたわけですけども、私自身もダラムサラにいるときに、そのニュースを見ました。
ほんとうに酷い事が起こったと、心に悲しみが湧いてまいりました。
私たち人間は、どこにいても、どのような人でも、苦しみを避けたいと望み、幸せになることを望んでいます。
そのようななかで、世界の五大構成要素がありますけども、その構成要素がバランスを崩したことから生じる、自然災害によって、悲しい出来事が起こってしまったと思います。
そして、地震や津波に加え、原発の事故ということから、様々な苦しみをこうむってこられたわけですが、地震は自然なる災害なわけですが、原発事故の惨事は私たち人間の作りだした問題です。
そのようなことから 私たちの心のなかには、様々な不安や苦しみが生じてくるわけです。

私に出来ることは、祈願をし、被災者の方々への心からの追悼の意を捧げさせて頂くこと以外にございません。
そして、日本も仏教国であるということで、般若心経を唱えておられると思います。
宗教的な面から申し上げますと、このような大惨事が起きてしまったときには、この般若心経を読み、法要をすることで被災者の方、また周りの方々の心を慰めるということができるわけなのです。

一般的に申しますと、人間の心の持ち方を考えてみるならば、私たちの身に様々な苦しみや、困難が沸き起こるとき、自分の知っている人がやってきて、「心配しないで良いよ」と言っていただくだけで、とても心が慰むわけです。
私にも、この日本に多くの知人がおります。私自身も大変な目にあったとき、知人にそういったことを言っていただけると、凄く心が休まるであろうと考えたもので、皆さま方もきっと同じではないかと、自分の心の中に沸き起こってきたわけです。

そして、仏教徒のひとりの修行者の観点から申し上げますと、逆境に立たされた場合、その逆境に立ったというその状況を、自分が悟りに至るための、ひとつの道として使うという、修行の方法が説かれています。
つまり、困難が起きてしまった場合は、もう起きてしまったことを無くすことはできないわけです。
悲しいことが起きたときに、悲しんで心配しているだけでは、何の役にも立ちません。
そこで、シャーンティデーヴァ(寂天)という同士の方がおられますけども、その方がお書きになった「入菩薩行論」というテキストがございます。
その中で、このように述べられております。
何かが起こったとき、それをどうにかする方法があるのであれば、それを行うべきである。しかしそれをどうにかする方法が無いのであれば、それ以上悲しむ必要はない」ということを述べられているわけです。
このアドバイスは、非常に科学的といいますか、現実的な日常生活に即した教えになっていると私は思います。
ですから、皆様方もひとつこのように考えていただきたいと思いました。
落胆して勇気を無くしてしまうのではなく、先を見つめて再建復興の為に努力していただきたいと思うわけです。

そして、私自身の体験から話させていただきますと、私たちは自分の国を失って以来、たくさんの困難な状況に直面してきたわけです。
しかしながら、そのような困難な時代を過ごしてきたことで、より強く自分自身の精神というものを、高めることが出来たのではないかと思います。
悲劇に打ち負かされるのではなく、現実の有り様を正しく理解することによって、自分自身の状況対処能力を強めていっていただきたいと思うわけです。
それによって、心の中にある力を、ますます高めていくことが出来ると思います。
そして、特に日本の方々は、第二次世界大戦で非常に多くの被害を受け、国土も多く破壊されました。
そのような状況から、立派に立ち上がられた民族であるわけです。
広島と長崎に原爆が落とされてしまい、たくさんの尊い命が失われてしまいました。しかしながら、日本の皆さま方は、落胆することなく、焼け野原から立ち上がられたという、過去の実績があります。
皆さまも、自信を失うことなく、前向きの姿勢で進んでほしいと思います。

そして、現在、我々は地球温暖化という問題も抱えております。このような世界に起こる災害という問題は、これからも次から次へと起きるものだと思います。
ですから、問題が起きるからには、私たちは心の中で準備をしておかなければなりません。
その問題に対し準備をして、何かが起きたならば、まず状況を詳しく調べて、その問題にどのような対処をしたら良いか、きちんと調べなければいけません。
これからの時代は、そのような生き方を、私たちはしていかなければいけないのだと思います。
つまり、これからの未来に対して、一切のギャランティはないわけです。物事は、常に変化していきます。新しい現実に直面する準備を、私たちはしていかなければいけません。

世の中には、工業的に発展し、科学技術も発展した豊かな国がたくさんあります。そのような国であっても、この世界は次から次へと新しい状況に直面していきます。
豊かな暮らしをしている国のなかでも、一方で貧しさと戦わなければいけない方々もいるわけです。
日本人の方々は、非常に小さい国でありながら、人口密度が非常に高い国となっておられます。
限られた狭い土地を、有効に使う能力に長けておられると思います。
他の国に訪問させていただいたときに分かることなのですけどが、世界にはまだまだ無駄に空いている土地がたくさんあります。
そこで、日本の皆さまの知識と能力を活かして、そのような土地を有効に使っていただきたい。
環境を破壊することなく土地を活かすという能力に長けておられるわけですから、そのように前進していただければと思います。

 - 東日本大震災

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

no image
自然エネルギーフォーラム 孫正義×小林武史 一青窈×Salyu トークライブ

3.11の震災後、100億円の寄付や、自然エネルギー財団の設立と、なにかと目立っ …

no image
宮崎駿が描いた原発メルトダウン後の世界 – On Your Mark

「チェルノブイリの住人は被曝していると言われても、他に知っている土地はないし、そ …