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心に響くもの

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『ビューティフル・マインド』を観て思うこと

投稿日:2012 年 3 月 2 日

beautiful mind『ビューティフル・マインド』という映画が面白いと聞いて、さっそく観てみた。
主人公は、ジョン・ナッシュという実在する天才数学者の話。実話がもとになっています。
世の中に起こることは、ガラスの反射から鳥の動きまで、すべてナッシュの頭の中で方程式となり、独創的なアイディアを見つけるために、ナッシュは研究に没頭していた。
そんなところから始まるお話。



ジョン・ナッシュは、人付き合いも上手くはなく、女を口説くこともなく、人と交わろうとしないタイプ。
天才的な頭脳を持つ彼に、周りが距離を取ろうとするから、なおさら交わることがない。
人と交わることは、独創性を欠くことにもなる。きっと、ほっておいたら、彼はずっと独りの道を選んでいたと思う。それはそれで、幸せだったのかもしれない。

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だけれども、あるとき、心を許したくなる女性に出会ってしまう。
ナッシュは反射的に、彼女の愛も拒否しようとした。
だけど、人間は頭がすべてではない。計算だけでは、まかり通らないものがある。
ここから、彼の人生は変わっていく。

beautiful mind

しかし、ナッシュは、「統合失調症」という病に苦しむことになる。
「統合失調症」とは、妄想や幻覚など様々な症状を示す精神疾患の一つ。その症状は、自分だけではなくて周囲の人間を巻き込んでいって、見ていて苦しいものがあった。
この映画は、統合失調症の患者の視点で描かれているので、まるで自分も妄想の人生を生きているような恐怖を味わうし、それがどんな病気かもよく分かる。
実際に、この映画が切欠で、「統合失調症」が世間に認知されることになったらしい。

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精神科医、ローゼン博士が、こんなことを言っていた。
「もし君にとって、一番大事なもの、大切なものが、消えたのでも死んだのでも無く、最初から無かったとしたら、どんな苦しみだと思う?」

もし、これまで過ごしてきた人生が、自分の妄想だったとしたら。
仲良くしてきた友人が、幻覚だったとしたら。
実話ということもあって、ちょっと想像してみた。
絶望の淵に立たされ彼が、そこで見た景色は、いったいどんなものだったのか。
すべてが仮初だと思ったら、何も信じることが出来なくなって、死にたくなっただろう、と思う。
だけど、彼は死ななかった。

どうしてかな、と思った。

いつも妻が側にいたから。
自分だけの命ではないと知っていたから。
とか、いろいろ理由はあるような気もするけれど、理由のひとつに、答を知りたかったから。
ということがあるような気がした。

beautiful mind

数学には、かならず答えがある。だけど、人生には答えがない。生きていくための必勝法なんて存在しない。
ぼくらが、一生懸命やっていることが、正解かどうかなんて分からない。どこにも、答なんか用意されていないからだ。

だけれど、ジョン・ナッシュとその妻の行動は、ひとつの答えのようにも思えた。
それでもやっぱり”信じてみる”ということ。

人は犠牲なしに何も得ることはできない。
だけど、犠牲があったとしても得られないものもあるはずだ。
分からないまま、墓に行くことのほうが多いかもしれない。
もしかしたら、ふたりは、たまたま答えに繋がっただけなのかもしれない。
そこは、分からない。

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世の中には、決して方程式にならないものや、決して言葉にはできないものがある。
言葉にしたり、数式に当てはめた途端にこぼれ落ちてしまうものだ。
理屈や利益だけではなくて、感情がこの世界では特別で、大事なものということ。

それが、答を導き出すヒントなのかな、と思った。

ビューティフル・マインド: 天才数学者の絶望と奇跡


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